• テキストサイズ

桜月夜【鬼滅の刃】

第18章 白日の中で待つ【END1】


「なんでもない。夕餉の準備をしよう。」


俺は一度戸締まりに門へ向かったが、結局門の鍵は閉めなかった。
玄関だけ鍵をかけてから、台所で千寿郎と夕餉の支度をする。
いつもなら、月城と千寿郎が楽しげに話しながらやっている。

それを眺めているのも良かったな。

彼女が作る味噌汁は出汁がきいていて美味かったな。

そんなことばかり考えてしまっていると、ふと千寿郎が口を開く。


「兄上は…姉上と結婚なさるのですか?」


「…ん?何!?」


一瞬聞かれていることが分からなかった。
よもや不意にそんな質問をされるとは。


「お二人共、仲が良いですから…そうなったら俺も嬉しいです。」


千寿郎は手元を見ながら作業を止めることなく言った。
そんなことを考えていたとは知らなかった。

だが改めて考えてみるとどうだろう。


「うむ、そうだな。俺としては、いつか彼女に妻になってもらえたら嬉しいがな。」


月城がそれを望むかどうかはまた別の話だ。
もしかすると、叶わないかもしれない。
なぜだかそう思った。


「もし、そうなったら、本当の姉上になりますね。」


「…そうだな。だが、月城も望めばの話だ。」


それと父上も。


「姉上ならきっと家に来てくれますよ!」


「だがな千寿郎、月城にも月城の都合があり考えがある。正直、期待は薄いかもしれない。」


「…どうしてですか?」


千寿郎の声が震えた。可哀想だが、期待はさせられない。期待をもたせてがっかりさせるようなことは…。


「月城は、近頃俺に合うことを避けている。」

「喧嘩でもしたのですか?」

「いや、なにも。ただ、彼女の気持ちがそうさせるようだ。今日、帰る前に話してくれた。」

「そう、なのですか。全然気が付きませんでした…」

「良い。千寿郎は気にするな。きっと月城は千寿郎には変わらず会いに来てくれるだろう。その時は、どんな様子だったか教えてくれるか?」

「はい!勿論です。」


俺は千寿郎の頭に手を置いて撫でた。
少し力が入りすぎたようで髪をぐしゃぐしゃにしてしまったが。







結婚か…。まだ考えられないが…






彼女とならいつか…





/ 322ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp