第17章 分岐
離れようとする動きを感じて余計に腕に力が入る。
なぜだが、もう会えぬ気がしてしまう予感が拭いきれない。
その不安を察したのだろう、背中に彼女の手が回ったのが分かった。
まるで宥めるように背中をさすられている。
「もう、行かないと…」
呟くような声がした。
それは分かっている。
俺は仕方なく腕の力を緩めた。
月城はすぐ離れるわけでもなく、ゆっくり体を離した。
冷たい風が間に流れこむ。
見送りたくない。
俺は彼女の両腕をパンパンと叩いた。何かを祓う儀式の様に。
月城はその手をとって指先を握ってくれた。
自然と彼女を見ると視線が合う。
今度は逸らされることもない。
今、なんと言うべきか…
→何が起きようとも、生きることだけを考えてほしい。
【黎明のその先へ】に続きます。お手数ですが242ページへお進みください。
→………。これ以上は返って追い詰めるかもしれないので黙っておこう。
【白日の中で待つ】に続きます。