第15章 暴れ馬
月城は驚きいつもより大きな声で聞き返していた。
「えっと…」
質問したのは先程の少年隊士か。さては惚れたな。だが彼女は渡さん。
月城はなんと答えるだろう。
「…好きな人はおります…」
月城は耳まで赤くなって下を向きながら答えた。そんなに照れられては俺までこそばゆくなってきた!
「ほんっと鈍いわね、いるに決まってるじゃない。見てわからないの?」
あの少女の隊士が隣の少年隊士に言う。
「うっ…すみません。ていうかなんでお前にそんな言い方されなきゃいけないんだよ。」
「言うわよ。その鈍さで月城さんに振り向いてもらおうなんて甘っちょろいこと考えないでよね。」
随分辛辣だな。ちょっと可哀想じゃないか?
少年隊士は横目で月城を見て顔を真っ赤にしていた。
月城はというと二人のやり取りを楽しそうに見て笑っていた。
「お気持ちに答えることはできませんが好意は嬉しいですよ。ありがとうございます。」
「あぁそんな…」
少年の隊士は恥ずかしそうにして縮こまる。隣の少女の隊士は一瞬俺と目が合った。
あの少女は俺と月城の関係に気がついているのだろう。隠すことでもないとは思うが…柱同士や同じ階級であればまだしも下だからな。
「あの、今度、手紙を…送ってもいいでしょうか。」
「ちょっと!まだ言うの?」
「だって好きな人がいるっては言っても恋人がいるとは言ってないじゃないか!」
そうきたか。これは困った。
「良いですよ、お手紙くらい。お待ちしています。」
と月城が言うと少年の隊士は飛び上がって喜んでいた。そこまで嬉しいのか、いや参ったな。少女の隊士は顔を青くしているというのに。
「良かったな!少年!」
「はい!ありがとうございます!」
うむ、もうなんでも良い良い!好かれるのは良いことだ!