第15章 暴れ馬
「炎柱!本当に良いのですか?」
「構わない!今回の指揮は全て彼女に任せている。異義のある者は俺より腕が立つ者を連れた上で唱えよ!」
というと全員静まり、その場に座り落ち着いた。
「でも、本当によろしいのでしょうか。」
仕掛けの手配を他の隊士に任せて月城が声をかけてきた。先程彼らが言ったことを気にしているのだろう。
「俺が構わないと言ったのだから気にするな。それとも俺では心配か?」
「いえ!そんなことは…」
否定はするものの不安なようだ。月城は優しいから、大凡見当はつく。
俺は励ます意を込めて彼女の肩に手を乗せた。
「大丈夫だ!」
月城は俺の顔を見るなりホッとしたように微笑んでいた。
まずいな、ついつい余計に緩みそうだったので気を取り直す。
「彼らの様子はどうだ?」
「見て参ります。」
離れたところで仕掛けを作る彼等に駆け寄ってすぐ、一つ爆竹が爆発した。
大きな破裂音にみな耳を塞いだ。
「大丈夫か!!」
「すみませーん!誤作動ですー!」
隊士の一人が手を振ってる。俺も月城の後を追うようにして様子を見に行った。
いくつもの爆竹の導火線を縄にくくりつけている。縄は油か何かが染み込ませてあるようだ。
父親が花火師だという隊士が爆竹を一つもってきて中身をみせてくれた。
「月城さん、このような構造にしております。言われたとおり、中に鉄やガラスの破片など尖ったものを入れて見ました。」
なるほど、破裂と同時にそれが体に刺さるわけだな。
「藤の花は混ぜてありますか?」
「はい。ですが少量しかないのでそこまでは…」
「ありがとうございます。どの程度まで飛散するのか実験しましょう。」
その一つにだけ長い縄をつけて、先端を持って離れる。月城はどこから拝借してきたのか鉄板を引きずってきた。
「これ、を!盾に!しましょう!」
よくこんな重い物を一人で…。他の隊士が手伝い、その板の背に身を潜めた。
「これ必要ですか?」
「念には念をです。実験で誰かが怪我しては大変でしょう?」
「そうですね…!炎柱も離れるか屈むかなさってください!」
「うむ!」
俺は更に離れた位置から拝見しよう。
全員の位置を確認してから、隊士の一人は導火線に火を付けた。