第14章 全て重ねて ※R指定
同じとはどういうことでしょう?
ミネルヴァの足の手紙を外して開いてみると、先刻要さんが告げられた内容と同じようなことが書いてあった。
この手紙の場合、"炎柱と共に"が付け加えられている。
「あらほんと。同じ任務ですね。」
ならこうしてはいられない。すぐに仕度しないと。
私は掛布団で身体を隠しながら鞄の前にずるずると移動して隊服を取り出した。しかしながら後ろにいる方がまだ動かないので布団から出て着替えられない。
「杏寿郎さん?」
「ん?なんだ!」
「…着替えるので出てもらえませんか?」
「もう見ているのだから気にすることもないだろう!」
「悪趣味ですよ。」
「むう!そうか、それは良くないな…」
少しだけしょんぼりとなさってお部屋を出ていく後ろ姿がなんとも可愛らしいく見えてしまう。
さて、隊服を纏い、髪を結い、薄く紅をさし準備を整えた。
羽織を着て刀を持って部屋を出ると、廊下はとても冷えていて寒かった。下腹部がきゅっと痛む。
千寿郎さんは寝ている頃なので音を立てないように静かに襖を閉めた。
玄関へ行くと、杏寿郎さんも準備を終えて出てきたところだ。隊服に炎のような絵柄の羽織を纏っていつもの見慣れたお姿だ。柱として勇ましい出で立ちにこちらの気持ちも引き締まる。
「外は冷えるぞ。これを貸そう。」
と、私の首に臙脂色のマフラーを巻いてくださった。ふかふかして温かい。
「よいのですか?」
「もちろん!女性は体を冷やすのは良くないと言うだろう!」
どこまでも優しい人ですね…。
私は貴方が風邪をひいてしまわないか心配ですよ。
「ありがとうございます。お借りしますね。」
靴を履いて紐を締め直し、門扉をそっと開けて外へ出た。
冷たい風が一陣通った。思わず身震いしてしまう。お腹も痛い。杏寿郎さんは大丈夫だろうか、きっと自分が使うつもりだったマフラーでしょうに。
「さあ急ごう!」
私の心配なんて吹き飛ばすような、いつもの朗らかさで杏寿郎さんは駆け出した。
最初はゆっくりと、少しずつ足の回転を上げていく。
私は腹痛もあっていつものようにはいかない。先に行ってもらうよう言おうか。そう思った矢先、走りながら振り向いた彼が私に手を差し出した。
「掴まれ!」
掴んだらどうなるんだろうなんて考える余地は私にはない。