第14章 全て重ねて ※R指定
とても温かく心地よくて恐ろしく眠たくなった。
でもまだ眠るのは惜しいな、起きたらきっと朝であっという間に別れなければいけないから。
もう少しこのままがいい。
しかし私の想いとは逆に体力のない体は休息を求めている。
あぁ無理だ。
重くなっていく瞼に逆らうことはできなかった。
意識が離れる間際、彼の腕の力が強くなった気がした。
明け方、鴉の声で目覚めた。頭は覚醒していないが、襖と真逆にある障子戸の向こうで翼をばたつかせて部屋に入れるよう催促していることは分かった。
杏寿郎さんが着流しを羽織り前は手で抑えるだけにして、障子戸を少しだけ開けると彼の鴉が入ってきた。
要さんという賢い鎹鴉です。
『北西ノ山ヘ迎ウノデス!隊士ガ鬼ニ苦戦シテイマス!』
「うむ!」
杏寿郎さんは一度こちらへ来て腰を屈めると、上半身を起こしたままぼんやりする私の頬に唇を落とした。
「出陣ですか?」
「あぁ、行ってくる!君はもう少し眠るといい。」
確かにまだ眠いのだけれど、それよりも今までここにあった温もりから離れることが寂しくて抱きついた。
暫く会えなくなるかもしれない。私は彼の着物に顔をつけたまま大きく息を吸い込んだ。杏寿郎さんの匂いがする。もっと眠くなった。きっと安心するせい。
「お気をつけて…」
背中に回した手に力を込めると、それに返事するように私の背に回された腕が力強く抱き締めてくれる。
「俺のことは心配無用だ。」
はい、と返事するも口が肩に押し付けられたままなので服に吸収されていった。大変、こんな時に欠伸が出そうだわ。必至に我慢していると、障子戸の向こうからホーと鳴く声がした。
そちらを見やると大きな真ん丸の双眸が隙間から覗いていた。
「ミネルヴァ、おいで。どうしました?」
私の鎹梟はよちよちと歩いて部屋に入ってきてホーとまた一つ鳴いた。私はこの子と一緒にやってきたせいか、この低い一声で目が覚める。
そしてミネルヴァはホーかピューンしか言わないので伝令はいつも手紙で足にくくられてくる。
『月城隊員モ同ジ!出陣セヨ!』
と要さん。