第14章 全て重ねて ※R指定
どこで一回という区切りなのか私には分からない。とにかく私はもう体力がなくなった。その後も何度も痙攣するほど突き上げられて、それも前から後ろからと角度も変わり、快感のあまりもう何も考えられなくさせられた。
今は杏寿郎さんの胸の上に頭を置いて休ませてもらっている。こうして肌を寄せるだけでもとても気持ち良い。
「…リアネ。」
「!はい?」
下の名で呼ばれたのは初めて。どうしたのでしょう、一体。
「呼んでみただけだ、用事はない!」
「なんですかそれ…」
杏寿郎さんは朗らかに笑った。
「そろそろ名前で呼ぶことも、慣れておかないとな!」
それはどうしてでしょう?聞いてみるも教えていただけなかった。
そうだ、名前といえば。
「杏寿郎さん。」
「ん?」
「杏寿郎さんの字はあんじゅとも読めますよね?」
「そうだな、それがどうかしたか?」
「私もあんじゅの名を持っているんです。」
意味は伝わらなかったようでしばし沈黙が流れた。
どうやら謎謎だと思われたらしい。降参だと言われた。
「日本では名乗る必要が無いので署名も省いておりますが、本当は月城・アンジュ・リアネと言うんですよ。」
「なんと!二つ名前があるのか!どちらで呼ぶのが良い?」
「どちらでも良いですよ。」
「アンジュか…読み方は違えど揃いのようだな。」
「ね、今私も思いました。ちなみにアンジュは天使という意味なのですよ。」
「天使は確か…西洋の絵に描かれている羽の生えた赤ん坊だな!」
「ふっ…」
思わず吹き出してしまった。違ってはいないけれど。
「正確には翼を持った神に使える戦士です。」
「何!?赤ん坊なのに戦士か!」
「赤ん坊の姿だけではないのですよ。」
中には杏寿郎さんのように炎の剣で戦う天使もいると話した。詳しいわけではないが、私の知っている限りその天使はまさに杏寿郎さんそのものだった。
「翼のような羽織、炎の剣、人々を尊び、公正な秤で真実を見分ける。私はずっと思ってましたよ、杏寿郎さんは本当は天使なのではないかと。」
母上様はそれをご存知でお名前を授けられたのではとも思った。
「俺はそんなに聖人じゃないぞ。」
「そうですか?」
「そうだろう!こんなに君に触りたいのに聖人がこれでは大変だ!」
そう言いながら私をぎゅっと抱き締めた。