第14章 全て重ねて　※R指定

それに段々と体重をかけて押し倒そうとしてくる。杏寿郎さんの力なら一気にというのも簡単なはずなのに、確認するようにゆっくりとしていた。

やっと唇が離れて大きく息を吸い込んだ時には、背が丁度布団についていた。だってこんなキスをされたら、抵抗なんてできないじゃない。本当に甘くて素敵なの、もっと知りたくなってしまうの。だけどちょっと明るくて恥ずかしいわ。私がチラと行灯を見たことをすぐに気づいて、杏寿郎さんは灯りを消してくれた。急に光がなくなったので何も見えない。ただ体の重なったところが妙に熱い。

「杏寿郎さん…」

お顔を探すように手を這わせた。背中から、胸へ、首元へ、それから頬を包んだ。そのお顔がまた近づいてきて、でも私の唇を通り過ぎて首筋でチュと音がした。
ただ一つの口づけに、身体が一瞬震えた。怖いわけではない。触れた場所はそこだけでも、きっと全身で感じているのだ。首筋から鎖骨へと移動していく彼の頭を撫でて髪を指で梳いた。
杏寿郎さんは私の腰を持ち上げて帯を少し緩ませると衿元を少し広げた。今日は洋装でなくて良かったと今思った。
はだけた胸元に恐る恐る入ってくる大きな手。乳房にたどり着いても優しく撫でられるのみ。
貴方ならもっと好きにしても良いのに、と思ってしまっているなんてとても言えない。
しかしそれも束の間。乳房が露わになるまで衿元は広げられ、何度も唇を落とされ、刺激でツンとしてしまった先が口に含まれて温かい舌で執拗に転がされ、吸い上げられた。

「んんっ！んー！」

快感で身体が震える。声を出すわけにはいかないので、手の甲を口に押し付けた。
それもすぐに気づかれて、口を塞いでいた手を避けられて自らの口で塞いできた。
喉奥まで入りそうなほどゆっくりと絡まる舌の動きに、また呼吸を忘れてしまう。同時に胸への刺激も止まないどころか増している。両乳房を解すように揉まれ、口づけで呼吸が荒くなると興奮するのか力が強まる。激しさを増して中心も指で弾かれ捏ねられ強く摘まれると、もう体が大きく跳ねた。
まるで自分の体ではないかのような動きに、私は少しだけ怖くなった。どうなってしまうのか分からない。
でも杏寿郎さんはそんな私に気づいてか、頬や瞼に優しく口づけしてくれる。それだけでとても安心できた。口づけしたまま、片方の手は私の髪を撫でて落ち着かせ、もう片方の手は着物の裾を捲り上げた。