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桜月夜【鬼滅の刃】

第13章 零からはじまる


結局その後、俺たちは鍛錬もせずに千寿郎が朝餉を告げるまでずっとそうしていた。
朝餉の後は気を取り直して真面目に鍛錬した。
月城は昼頃にはもう出てしまうらしい。あいにく千寿郎は学校があるので、見送りは俺一人だった。
他に誰もいないのを良いことに、玄関口で俺たちはまた互いを抱き締め合った。

「なんだか今日はいつもより別れが辛いです…」

月城がそんな風に思っていることが嬉しかった。俺も同じことを思っていたから。

「またすぐ会える!時間を作ろう。そうだ、次の暇には二人で食事でもどうだ?」

「まぁ、いいですね。ではその日を楽しみにして励みます。」

「うむ!俺もそうしよう!何かあれば些細なことでも良い、鎹鴉で連絡をくれ。…君のは梟だがな!」

「はい、必ず。」

この腕から放すのが惜しい。俺は渋々月城から体を離した。このままではいつまで経っても出陣させられないな。

「では杏寿郎さん、御機嫌よう。」

「気をつけて…!」

月城は俺の贈った羽織を翻して出立した。
見送る側というのはいつも寂しい。今まで相手がいた空間に自分だけ取り残されたような気になる。
だが今度は違う。俺の想いは届いた。彼女は応えてくれた。離れていても心で繋がっている。
次に会う約束もした。
実にいい気分だ!
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