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桜月夜【鬼滅の刃】

第1章 異人の隊士


着替えを終えて居間へ入ると、月城と千寿郎が座って待っていた。

「あの…申し訳ございません。稽古をつけていただくだけでなく、お昼までご馳走になってしまいまして。」

月城は肩身狭そうに頭を下げていた。
俺は向かい合うようにして腰を下ろす。

「気にするな!しっかり食べないと午後の鍛錬で動けなくなるぞ。いただくとしよう!」

今日はカレーライスだ。千寿郎、腕をふるったな。

「いただきます。」

月城はスプーンで小さく掬って口へ運んだ。
大きな青い眸が一層大きくなった。


「美味しいですね!千寿郎さんが作ったんですか?」

千寿郎は恥ずかしそうに、だが喜んでいた。

「月城さん、何がお好きか分からなかったので。カレーライスならたくさん食べられるかなと。」

「ありがとうございます。好き嫌いはないのですが、今まで食べたどのカレーライスよりも美味しいですよ。」

月城はそう言ってもう一口。笑顔を向けながら食べていた。彼女は褒めるのが上手だな。
二人を眺めながら俺もスプーンに山盛り掬って口に運ぶ。


「ん!うまい!!!」

月城は驚いて肩を一瞬震わせた。
千寿郎は、俺がいつもこの調子で食べることを伝えていた。


「うまい!うまい!……んんん!!?」

何かと思えば!さつま芋が入っているではないか!!
とろみのある食感と甘さにカレーの辛さが相まって更にうまい!

「あぁ、気が付きましたか?兄上の好きな…」

「わっしょい!!!」

千寿郎が言い切る前に発したので月城はとくと驚いていた。


「千寿郎さん…兄上様はどうなさったのですか?」

「あはは…兄上はさつま芋が好物でして、食べるとあのようにわっしょいわっしょいと。」

「わっしょい!!わっしょい!!」

月城は初めは唖然としていたものの、次第にくすりと笑いだした。

「ふふふ、面白い方ですね。」

青い眸を細めた笑みは、とても優しかった。なぜか懐かしく感じる。
俺は月城と顔を見合わせて笑いながらカレーライスをどんどんたいらげていった。

「うまい!千寿郎、まだあるか?」

「はい、お持ちします。」

「うむ!たくさん盛ってくれ!」

何もなくなった皿を渡し、待っている間に月城の食べる姿を眺めていた。
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