第8章 賑やかな祭りではご用心を
若葉と共に洗濯をたたみ終えた結莉乃は眞秀と夕餉を作り終え、今は広間で食事をしていた。
胤晴
「凪」
凪
「はい」
突然、胤晴が凪へ声を掛けると全員の視線が自然とそちらへ向いた
胤晴
「今年は…祭りに参加しようと思う」
凪
「え…」
凪の驚いたような表情が気になったものの、祭りという単語に結莉乃は反応した
結莉乃
「お祭り?」
眞秀
「嗚呼。毎年この季節になると壬生では祭りを開くんだ」
結莉乃の疑問に隣に座っていた眞秀が答えてくれた。だが、結莉乃はちょっと待てよ?と考える
結莉乃
「あ!これ!あの時のイベントだ!」
眞秀
「いべんと…?」
結莉乃
「はっ…いや、何でも!」
思い出して内心で呟いたと思っていたものは外に出ていたらしく眞秀の不思議そうな声に結莉乃は、はっとする。皆でお祭りに行って楽しくわいわいするやつだ、と考えれば表情筋はだらしなくなる。
が、そこでもう一つ思い出したのは胤晴はその祭りに参加していなかったという事。ゲームとは違う流れに、どういう事だろう…と思っていると凪との話を終えた胤晴から今度は結莉乃へ声が掛けられる
胤晴
「結莉乃」
結莉乃
「あ、はいっ」
胤晴
「後で俺の部屋に来てくれ」
結莉乃
「?…分かりました」
首を緩く傾げつつも結莉乃は頷いて見せた。慎太と八一はその場では反応しないが、天音は分かりやすく眉間に皺を刻み。眞秀は苦笑を浮かべていた。凪は胤晴が参加するという事実が嬉しいようだ