第7章 馴染みゆく彼女の存在は大きくて
結莉乃
「ありがとうございます。…頑張り過ぎず無理し過ぎず…自分で出来る範囲で守ります。それで、それが無理だったら皆さんを頼ります」
胤晴
「嗚呼。君の考えも大事だが…頑張り過ぎて命を落としたら意味が無い。仲間に頼られて迷惑に感じる者はいない」
重かった身体が軽くなっていくように感じた。あまり自分で背負い過ぎずにやろうと思えた。そして、逆で考えたら確かに彼等に頼ってもらえるのは嬉しいし守る事が出来たら安心すると考えた
大事な思い出がある湖に連れてきてくれて、過去の話もしてくれて刀も貰い、嬉しい言葉まで掛けてくれた胤晴を見る事が出来て結莉乃は誘ってもらって良かったと思いながら貰った短刀を大事に懐へしまった
二人で屋敷に帰ると慎太と八一が笹の準備をしていた
八一
「お帰りなさい、二人とも」
結莉乃
「ただいま。…笹?」
慎太
「嗚呼。もうすぐ七夕だからな」
結莉乃
「短冊飾るの?」
慎太に結莉乃が問うと隣に居た胤晴が口を開く
胤晴
「短冊、知っているのか」
結莉乃
「はい!私の世界でも笹に短冊飾りますよ。…でも、成長するにつれて私はやってないですけど」
最後にやったのは小学生の頃だったかな、なんて結莉乃が考えていると慎太が僅か口角を上げる
慎太
「それなら此処でやれば良い」
結莉乃
「うん!」
八一
「胤晴さんと結莉乃ちゃんは、どこかに出掛けてたんですか?」
胤晴
「嗚呼。少しな」
八一
「へぇ…」
どこか拗ねた様な表情を八一は浮かべるがすぐにその表情は消えて結莉乃へ何か小さな袋を渡してくる
結莉乃
「これは?」
八一
「金平糖。好き?」
結莉乃
「あんまり食べた事ない…」
その事実に三人が顔を見合わせていた。それに気が付かない結莉乃は結ばれている紐を解いて中を見る