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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第7章 馴染みゆく彼女の存在は大きくて




結莉乃
「可愛い…」


白や黄色に桃色のころっとした金平糖が入っていて思わず呟く。頂きます、と小さく告げてから結莉乃が金平糖を口にする


結莉乃
「美味しい。…ありがとう、八一くん!」

八一
「いーえ」


その様子を眺めてから胤晴が連れていた馬を厩舎へ戻しに去って行った。結莉乃も笹を飾る二人に言葉を掛けてから自室へと向かう。


結莉乃
「ん?」


机の上に乗っていたものを手に取ると結莉乃は口角を上げる


結莉乃
「短冊だ」


結莉乃は棚から硯を取りだし、出来た墨を筆先につける


結莉乃
(んー…早く元の世界に戻れま─)


そこまで書いて結莉乃の手は止まる。書き途中の短冊を避けるともう一枚、置いてあった短冊を手に取る


結莉乃
(種族関係無く平和になりますように)

結莉乃
「なんて。少し良い子ちゃんぶり過ぎ?…でも本当に思ってるし、良いよね!」


書き終えた短冊を見て最初は少し不安になったが、解決して満足気に笑む。この世界に来て改めて思った事だった。まだ他の種族とは深く関わった事は無いが、彼等の話を聞いて思った



そして七夕当日。結莉乃は眞秀と台所に立っていた


結莉乃
「私おはぎ自分で作ったの初めて。こんな感じ?」

眞秀
「おう。上手い上手い」


餡子ときな粉と胡麻のおはぎと団子が並んでいく。それを作り終えると二人で広間の縁側へ持って行くと既に皆が座っていた

夜風に吹かれ笹に飾られた色とりどりの短冊が揺れる。そこには勿論、結莉乃が書いた短冊も飾られている



「うん…美味しいですね」

八一
「ん、うまっ」

天音
「胡麻」

結莉乃
「はい!」


おかわりをしてくれる天音に笑みながら胡麻のおはぎを皿に乗せる。慎太も胤晴も特に何も言わないが沢山おかわりをしてくれて、他の皆もそうで…結莉乃と眞秀は目を合わせて笑んだ


結莉乃
(皆の願いが叶うと良いな…)


夜空に浮かぶ星を見上げながら結莉乃はそう思いつつ、全員で過ごす七夕を楽しむのだった



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