第7章 馴染みゆく彼女の存在は大きくて
結莉乃
「え、でも…何で胤晴さんを?」
胤晴
「鬼を恨んでいる妖怪がいてもおかしくは無い。どの種族にもある事だ」
結莉乃
「…だから、鬼の長である胤晴さんを狙ったと?」
胤晴
「恐らくな」
命が狙われているのにどこか他人事に見えるそれは、彼の慣れを表しているようだった。同時に突然こられても退けられる自信があるの様にも見えた。
胤晴
「ところで結莉乃」
結莉乃
「はい?」
胤晴にとってこの出来事は大した事では無かったらしく、既に別の話題へと向かおうとしていた
胤晴
「これから空いているか?」
結莉乃
「え?空いてますけど…どうかしたんですか?」
胤晴
「連れて行きたい所があってな。…共に来てくれるか」
結莉乃
「あ、はい!」
誘われると思っていなかった結莉乃は驚いたものの頷いて見せた。その返事にどこか胤晴は安堵しているように見えたが、結莉乃は気付かなかった
胤晴
「玄関で待っている。準備が出来たらおいで。…急がなくて良いからな」
結莉乃
「分かりました」
鬼の長を待たせている、と考えたら結莉乃は他の皆の時もそうだが余計に慌ててしまう。
結莉乃は若葉に着付けをしてもらい玄関へと向かった
結莉乃
「お待たせしましたっ」
胤晴
「待っていない。…厩舎の方へ行こう」
胤晴に促されるままに結莉乃は厩舎の方へと歩き出す。厩舎には綺麗な馬がおり、胤晴はその中の黒い馬へと近付く
胤晴
「乗馬の経験は?」
結莉乃
「え、無いです…」
胤晴
「そうか、それなら俺と共に乗ろう」
結莉乃
「良いんですか?」
胤晴
「嗚呼」
恐らく自分に乗馬経験があったら別の馬に乗ったのだろうか、馬に乗れたら格好良いし長距離の時に二人分の体重では馬に負担が…そう思った結莉乃は馬に乗れる様になりたいと考えた