第7章 馴染みゆく彼女の存在は大きくて
─ガタンッ
口を開いた瞬間、中から凄い音がして結莉乃は声を掛けるのも忘れ慌てて襖を開く
結莉乃
「何か凄い音がしましたが、大丈夫で─…え」
結莉乃は自身の視界が捉えた光景に固まった。
胤晴が先程の女性を押し倒していたのだ。すると、押し倒されている女性の唇が弧を描き
女性
「お騒がせしたけども…男女の営みの邪魔をしないでくれるかい?可愛いお嬢さん」
胤晴
「結莉乃…」
結莉乃
「す、すみません!」
女性からの言葉に照れとやってしまった、が同時に来て結莉乃は慌てて襖を閉める。
そして、お茶を持ったまま自室に戻ると大きく息を吐き出す
結莉乃
「はぁ…びっくりした…」
机にお盆を置いて結莉乃は自分を落ち着かせようと深呼吸をする。それから出す筈だったお茶とお茶請けで漸く平常心へと戻せた。暫くしてお茶を片付けようと台所へ向かい、自室へ帰ろうとする結莉乃の背後から声が掛けられた
胤晴
「結莉乃」
結莉乃
「あ、胤晴さん。先程はすみません」
胤晴
「気にするな。…言っておくが、あれは俺を襲いに来た妖怪だ」
結莉乃
「へ?」
結莉乃
(そんな涼しい顔して営みの話するの?戸惑いますよ??)
胤晴
「何だその顔」
戸惑いの表情を浮かべる結莉乃に胤晴は不思議そうに問い掛ける
結莉乃
「え、だって…営みの話をされましても…」
胤晴
「ん?…いや、違う…あれは俺を殺しに来た妖怪だ」
結莉乃
「え!?そうだったんですか!?じゃあ、私…気付かずに危ない人を入れちゃったんですか!?すみません!」
予想外の言葉に結莉乃は目を丸くする。そんな人を確認もせず圧に負けて招いてしまった事が申し訳なかった
胤晴
「いや、良い。君に何も無いならな」
結莉乃
「え…わ、私は別に…」
自分は殺されそうになったのに特に何もされていない結莉乃の事を心配する胤晴に優しい人だと心から思った