第7章 馴染みゆく彼女の存在は大きくて
数日後─…
「ごめんくださーい」
結莉乃
「はぁい、今開けます」
玄関から聞こえた声に結莉乃が気が付き、少しだけ顔を覗かせる。長身で肩までの黒髪が綺麗な女性が立っていた
女性
「胤晴さんに用があって来たんだけども」
結莉乃
「胤晴さん?少しお待ち下さい、確認して─」
女性
「来る事は伝えてあるし、部屋へ通してもらっても良いかい?」
結莉乃
「え、あ…はい」
結莉乃は本当に良いのかな、と思ったが女性からの圧に負けて不思議そうにしながらも女性を招き入れた。そして、胤晴の部屋の前に立つと声を掛ける
結莉乃
「胤晴さん、お客さんです」
胤晴
『客?…通してくれ』
結莉乃
「あ、実は─」
中から胤晴の怪訝そうな声が届き、許可を得る前に通してしまった事を伝えようとしたが、それを遮って女性が襖を開けてしまう
女性
「どーも、こんにちは」
胤晴
「君は…」
女性
「案内してくれてありがとう。…じゃ」
女性は結莉乃に、ひらひらと手を振って襖を閉じてしまう。女性の勢いと強引さに驚いているうちに襖が閉ざされたのを知った結莉乃は、お茶の準備をしようと台所へ向かった
結莉乃
(何か不思議な人だったな…本当に約束あったのかな?胤晴さんもピンと来ていなかった様に見えたけど…あ、もしかして!密会ってやつ!?ん?でも密会だったら堂々と表から来ちゃ駄目だよね…?)
お茶を準備しながらも結莉乃は考えたが、結局は分からないし…お世話になっている人を探る様な事を考えては駄目だと思考を止めた
結莉乃がお茶の準備を終えお盆を持って胤晴の部屋の前に立つ