第6章 慣れは非日常を日常へ変えていく
結莉乃
「八一くんの事、最初は怖いなとか不思議な人だなって思ってたけど…今はちゃんと信じてるもん。私はあの屋敷にいる人達を疑ったりしない。だから、八一くんの言葉を実践したの」
八一
「は…」
まさかそんな言葉をかけられると思っていなかった八一は、間抜けな声が零れた。だが次には吹き出していた
八一
「ははっ…やっぱり変な奴だな、結莉乃ちゃんって。でも、何か良いな…君みたいな考え方」
眩しそうに細められた瞳で見詰められて述べられたそれに結莉乃は不思議そうにしたが、褒められたんだから良いかと思う事にした
それから他愛ない会話をしながら歩いていると森の近くまで来ていた
八一
「手貸して。この辺、木の根が飛び出したりしてて危ないから」
結莉乃
「ありがとう」
結莉乃は差し出された大きな手に自身の手を重ねた。森へと脚を踏み入れると時々、木の根に脚を取られ転びそうになるが…その度に八一の手には力が入り結莉乃を支える。その頼もしさと優しさのおかげで結莉乃は歩き続ける事が出来た
そうして歩いていると目の前には大きな木が現れ、その木には階段があり到達点を見上げると大きく広がった場所に小屋が建っていた
結莉乃
(ツリーハウス…ってやつ?)
結莉乃
「凄い…」
八一
「でしょ。俺の秘密の場所」
結莉乃
「秘密の場所?…そんな所に来ちゃって良かったの?」
八一
「うん、結莉乃ちゃんは特別」
特別にしてもらえる事をしただろうか、なんて疑問を持った結莉乃だったが、すたすたと歩いて行ってしまう八一を見ればその疑問はしまい込み慌てて着いていく