第6章 慣れは非日常を日常へ変えていく
走っている最中、襲い来る火や落ちてくる木を先程の水色の光が防いでいく。その事で確信を得た結莉乃は何度もそれを発動させて何とか店から出る事ができた
眞秀
「結莉乃!」
結莉乃
「眞秀くん…」
眞秀
「また無茶して!大丈夫だったか!?」
結莉乃
「ん、大丈夫。…君も大丈夫?」
男の子
「うん、大丈夫だよ。お姉ちゃん凄いね」
結莉乃
「ありがとう…あ、あれ君のお母さんかな?」
男の子
「あ、本当だ!ありがとう、お姉ちゃん!」
心配で走ってきた女性の方へ男の子が走って行くのを見送る。
眞秀
「…この傷は?」
結莉乃
「戦ってる時に声に気を取られちゃって…」
眞秀
「たく……とにかく、無事で良かった…」
その心底安堵している眞秀の声に結莉乃が申し訳なく思っていると、ふわりと彼女の身体は眞秀の腕の中へ閉じ込められた
結莉乃
「ま、眞秀くん?」
眞秀
「無茶する誰かのせいで寿命縮んだ」
結莉乃
「ご、ごめん。……あ、そうだ。あのね」
今の格好に恥ずかしさはあるものの先程の事を説明したくて、結莉乃は少しだけ身体を離して眞秀を見上げる
眞秀
「防御できる力?」
結莉乃
「そう」
店の中で起こった事を話すと眞秀は不思議そうに首を傾げる。二人が話している最中も動いていた火消し隊のおかげもあって火は消え、今は骨組みだけになってしまった数軒の店が残っていた
結莉乃
「治癒の時みたいに何でかは分からないんだけど…急に現れて」
眞秀
「そうか…でも、それのお陰で助かったんだろ?」
結莉乃
「うん。あれが無かったら多分、助かってなかった…。この力ちゃんと使えるようにならなきゃ」
拳を握る結莉乃を見て眞秀は優しく頭を撫でる。焦らずにやろう、そう言われているようで結莉乃は肩の力が抜けた