第4章 手にしたい力 と 手にした力
食材を買い終えると書店へと向かい記入してあった本の題名を探し、見付けたそれを購入して店を出ようとしてぎょっとする
結莉乃
「雨降ってる…」
暗くなった空を見上げながら結莉乃は呟く。彼女は傘を持ってきておらず、少しだけ雨宿りさせてもらう事にした。
結莉乃
「止みそうにない……仕方ない、着物は濡れちゃうけど…行くか!」
着物が濡れてしまう事への罪悪感はあったものの食材が、もしすぐ必要な物だったらと考え走って帰る事に決めた。そうと決まれば結莉乃は、よしっと声を上げてから走り出そうとしたが…
結莉乃
「……っ…!?」
誰かに後ろから腕を掴まれ走る事が叶わなかった為、振り返る
結莉乃
「慎太くん!?」
慎太
「あんた、傘もささずに帰ろうとしているのか」
結莉乃
「あぁ…うん、雨降るの知らなくて持って来なかったの」
慎太
「そうか。…なら、俺の傘に入れば良い」
結莉乃
「え、良いの?」
慎太
「嗚呼。あんたに風邪引かれたら困るからな。…行くぞ」
さされた傘の下で促されれば結莉乃は、失礼しますと声を掛けて彼の隣に並んだ。狭い傘の中でどうしても当たってしまう肩に結莉乃は少し緊張してしまう
慎太
「……来る」
結莉乃
「え?」
急に脚を止め短く呟いた慎太の言葉に結莉乃が首を傾げるのと同時に、不気味な呻き声が雨に紛れて耳へ届いた
結莉乃
「異形…!」
異形
「グ、ウゥ…」
異形
「鬼、人間…喰ウ」
初めて見た時と同じ様に様々な姿の異形が、ぞろぞろと出てきた。
結莉乃
「八体も…」
慎太
「大丈夫か?」
結莉乃
「う、うん!この為に…毎日やってたから!大丈夫!」
怯みそうになった心を何とか奮い立たせ結莉乃は力強く慎太の言葉に返した。その強い瞳を見て、慎太は彼女を信じる事にした
慎太
「無理はするなよ。…雨は視界が悪い」
結莉乃
「分かった…!」
最悪な天候での初陣。だがそれがより一層、結莉乃の気を引き締めさせた