第4章 手にしたい力 と 手にした力
眞秀
「開けてみな」
何やら楽しげに目を細めて促してくる眞秀に従って、結莉乃は床に正座をして木箱の蓋をゆっくりと持ち上げる。そこには紫の布が被った何かがあり、その布を捲る
結莉乃
「え…嘘…っ」
眞秀
「驚いたか?」
結莉乃
「うん……でも、これ…良いのっ?」
眞秀
「嗚呼。…だよな、凪」
凪
「ええ、王からの許可は得ております」
結莉乃の瞳には鞘も柄に巻かれた紐も下緒も白で統一されており、鞘尻には金で桜の花弁が斜めに舞っている刀が写っていた
結莉乃
「凄く綺麗…」
眞秀
「だろ?短刀はまた今度な」
結莉乃は感動しながらお礼を述べて頷いてから、ゆっくりと打刀を両手で持ち上げる。綺麗な見た目に反してずっしりとした重みは、いずれこの刀を振る時の為に責任と覚悟を問われている様な重みにも感じた。
眞秀
「大事に保管しとけよ」
凪
「そうですよ。手入れを怠れば、その報いが訪れます」
結莉乃
「分かりました…!」
木箱に改めて刀を仕舞い大事に腕に包み込む。
その日から結莉乃の鍛錬にも熱が入り、更に向上していった
女中
「え…宜しいのですか?」
結莉乃
「はい!お手伝いさせて下さい」
結莉乃はこの日、世話役の女中…若葉が困っていたので代わりに買い物に行く事を申し出た。女中は申し訳なさそうにしつつもお礼を述べて結莉乃に頼む事にした。
若葉に淡い緑色の着物を着せてもらい、鞄に必要な物が筆で記された紙と預けられた財布を入れる。そして、刀を身につけ目立たない様にその上から羽織を纏った
若葉
「では、お願いします」
結莉乃
「はい、行ってきます」
優しい声に送り出されて結莉乃は城下町へと向かう。
案内してもらってから覚えようと何度か眞秀について行き、町へ来ていた。それに、今回向かう場所は結莉乃も訪れた事があるため手伝いを名乗り出た