第4章 手にしたい力 と 手にした力
結莉乃
「あ、そういえば…」
眞秀
「何だ?」
結莉乃
「眞秀くんって弓も持ってた…よね?」
眞秀
「それも、記されてたのか?」
結莉乃
「あ、うん」
眞秀
「ん、持つよ。刀も弓も持ってると何かと便利だからな」
刀と弓が便利、現実ではゲームの話で無ければしないような内容を彼は体験しているからこそ言っているのだと思えば…自分が生きている世界にも危険はあるが、幾分か安全な気がした。
結莉乃
「でも、全く種類が違うのを瞬時に使い分けられるの凄いね」
眞秀
「鍛錬のおかげだな。…結莉乃の腕は細いから重い真剣を持って戦うのは少し大変かもしれない。自分に合っていない武器で戦うのは不利にしなからねぇしな」
結莉乃
「成程…」
結莉乃は木刀を持っている手を見下ろしながら納得した。
眞秀
「だから、そうだなぁ…打刀か短刀か。んー…打刀も重いか…?」
自身が持つ分には重さを感じない為に眞秀は顎に手を添えて考え込んでしまう。それを見た結莉乃は思い切って声を掛けた
結莉乃
「打刀にする!」
眞秀
「そうか?」
結莉乃
「その重さに慣れてみせる…太刀じゃないし、大丈夫」
眞秀
「ん、分かった。よし、それなら主に使うのは打刀だが…何かの時の為に短刀を忍ばせておいた方が何かと役に立つ」
そう言うと眞秀は打刀の長さの木刀を取り、結莉乃に渡した。まさか短刀もと言われると思っていなかった結莉乃は驚いたが、すぐに頷いた
眞秀
「ま、口で言うより身体を動かした方が覚えられるだろ。…準備良いか?」
結莉乃
「はい!お願いします!」
三十分後─…
結莉乃
「……っ…!」
眞秀
「また腕だけになってる。腕だけを振るんじゃない、全身と重心移動で振るんだ」
結莉乃
「はっ…、うん…!」
普段デスクワークばかりな上に休日も運動はせずに過ごしてきた身体はすぐに悲鳴をあげた。額から流れてくる汗を手の甲で拭ってから再び結莉乃は構える。