第4章 手にしたい力 と 手にした力
胤晴
「刀を持ったら強くなるのか」
結莉乃
「なりません。…だから、稽古をつけて欲しいんです!眞秀くんに!」
眞秀
「え、俺!?」
結莉乃
「だって、異形退治の部隊率いてるし……お願いっ」
眞秀
「…俺は別に良いが…」
そう言いながら眞秀は胤晴を窺うように視線を向ける
胤晴
「ふん。勝手にしろ」
結莉乃
「ありがとうございます…!」
胤晴に物を告げるのに勇気というものに体力を削られた結莉乃は、与えられた部屋に戻り座り込む。
結莉乃
「はぁ…緊張した…」
結莉乃
(もしもこの治癒できる力が使えたとして…これがゲーム内特有のヒロインが得られる力だとするなら、治癒は役に立つのかな…。良くゲーム内では役に立つって言われてるけど、私は戦える力の方が良かったな…)
光が溢れた掌を見下ろしながら結莉乃はそんな事を考えていたが…考えた所でどうにもならないと思い廊下へ出ようと襖を開ける。
結莉乃
「わっ……びっくりした…」
襖に影が映らなかった為、気付かなかったがそこには慎太が立っていた。
結莉乃
「慎太くん…どうしたんですか?」
慎太
「驚かせるつもりはなかったんだ…すまない。あんたの顔を…見に来た」
結莉乃
「へ……?」
頬を掻きながら告げられた言葉に結莉乃は間抜けな声を出して驚いた。あまり豊かでは無い慎太の表情が心做しか照れているように見えて結莉乃は、その事にも驚いた。
ひとまず何が起こっているのかは分からなかったが、慎太に促されるまま縁側へ腰掛けた。だが、どれだけ待っても慎太が何かを話し出す気配はなく結莉乃は様子を窺いつつも口を開く
結莉乃
「慎太くんって…その、私の世界では無口なイメ…印象があったので思っていたよりも話してくれて驚きました。それに、私みたいな得体の知れない奴は警戒して受け入れてくれないと思ってたので…」
正直な感想を慎太へ投げ掛ける。
得体の知れない人物は問答無用で疑い警戒しそうなイメージがあった為、こうしてわざわざ部屋へ来て話し掛けてくれるとも思っていなかったので驚きが拭えなかった