第3章 始まった非日常
眞秀
「此処もそうだが、他種族が治めてる領に他の種族が住んだりする事もある。まぁ、基本的には観光だったり用がある時にしか行かねぇ。因みに領に入るには審査を受けて許可が出れば許可証が渡されんだ」
結莉乃
「へぇ…あ、その許可証って領を出ても持ってられるの?」
眞秀
「いや、出る時には回収する」
結莉乃は先程、女中に聞いた事を問いたいがどう言えば良いのか分からず悩んでいた。その結果口にしたのは…
結莉乃
「…他の領同士って友好的な関係なの?」
眞秀
「友好的、か…んー…そうだなぁ」
彼女からの問い掛けに腕を組んで僅かに眞秀は考える。
眞秀
「この世界にはちゃんとした妖怪になれない異形っつー妖怪がいるんだ。鬼は率先してそいつらを討伐する為に俺が率いてる異形退治をする部隊があるんだ。…その力の関係もあって鬼が少し上でな。支配してるとかじゃねぇから、それで成り立ってるし共に過ごせてる。互いに必要以上の干渉はしない…が、度が過ぎれば俺達鬼が仲裁に入る。…まぁだが…一部の納得出来ない奴や他種族を受け入れられねぇ奴等はいる。そういう奴等は力の弱い鬼や他の種族を攫って従え…働かせているらしい」
友好的かどうかで言ったら、恐らく友好的ではない。
女中から聞いた話と同じだが、より詳しく話されたそれを結莉乃は理解しようとちゃんと聞いた。
眞秀
「そういう奴等を捕まえれてねぇ自分達が腹立たしいよ。…俺の部隊がありながら仲間を助け出してやる事が出来ねぇ」
悔しげに握り締められる拳が震えていて、結莉乃は眉を下げる。恐れるものから守っているのに裏切られている様な、そんな気分なんだろう…と予想する事しか出来なかったが、凄く辛いものだと結莉乃は気分が沈んだ。
結莉乃
(異形って…凄い不気味な姿してた…。絵で見てもそう思ったんだから実際に見たら…)
それを想像して結莉乃は、ぶるりと震えた身体を両手で抱き締めた。だが、怯えてる場合じゃないと結莉乃は眞秀へと顔を向けた