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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第20章 目覚めた先で見た世界·弍




何もかもが久し振りで緊張したものの身体が勝手に動いているような感覚で心は何も追い付いていなかった。

向こうのゆったりと時間に追われない生活に慣れた為か街の音は耳に痛く、人の歩く速度に疲れそうになったり…今まで普通だったそれは結莉乃にとって普通では無くなっていた



「だからここは…って聞いているのか!」

結莉乃
「…っはい、すみません」


デスクに戻った結莉乃は、小さく息を吐き出す


結莉乃
(日常生活は私の思い関係無く…私だけ置いて流れてるな…)


そう思いながら少し冷えたコーヒーを一口喉に通す。向こうに行ってから自分が前向きな考えが出来る事を知ったが、やはり現実世界では戻った事が整理できてないのもあり…あまり前向きな考えが出来ないでいた

天音と鍛錬をしたり凪に教えてもらって乗馬をしたり、人々を治して回ったりと動いている事が多かった為、今まで出来ていたずっと座っている事が苦痛で仕方なかった


美優
「結莉乃、今日どうする?」

結莉乃
「え?」


ぼーっとしていた結莉乃は美優に声を掛けられて首を傾げる。美優は瞬きを数回して、小さい鞄からスマホを取り出して時間を見せる


美優
「お昼だよ。結莉乃、大丈夫?ぼーっとしてる事多いよ」

結莉乃
「あぁ、うん…大丈夫。ごめんね。私、今日コンビニ寄ってきちゃった」

美優
「そっか!じゃあ、私はお店行ってくるね」

結莉乃
「行ってらっしゃい」


結莉乃は美優に軽く手を振る。コンビニの袋を手に取ると結莉乃は近くの公園まで向かった。ベンチに座りサンドイッチを一口齧る

向こうの世界は冬だった為、夏の暑さが余計に疲れる。結莉乃は風に揺れる花を眺めながらまた考えてしまう


結莉乃
(皆…今何してるかな…)


思い出すのは彼等と過ごした刺激的で物騒ではあったが、幸せな日常。仕事をして上司に理不尽に八つ当たりをされて…此処ではそんな感じだったなと考えれば考えるほど、彼等との生活が恋しくなっていた



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