第20章 目覚めた先で見た世界·弍
結莉乃
(今日は良く寝れ…)
結莉乃
「あ!朝餉……っ!?」
良く眠れた、久し振りの深い眠りにそう思って目を覚ましたが…良く眠れたという事は朝餉の準備に遅れたという事だと結莉乃は理解し、思い切り起き上がると…そこは現実世界だった
結莉乃
「え…?」
いつか現実世界に、それはまさかの今日で…沢山騒ぎ幸せの中、深く眠れた事が現実世界に戻るきっかけとなってしまったらしい
結莉乃
「嘘……あれ?服が戻ってる…」
結莉乃がゲームの世界に行った時のワンピース姿に戻っていて驚く。向こうに行った時はワンピースのままだった為、こっちに来たら着物のままだと思っていたからだ
─ピコンッ
スマホから久しく聞いていなかった通知音が届き、結莉乃は戸惑ったままスマホを手に取り操作する
美優
『お待たせ、着いたよ!』
美優
『結莉乃?』
美優
『どうかした?何かあった?』
アプリには美優からの連絡が沢山入っていた。浅くなりそうな呼吸を何とか抑え慌てて日付を確認すると、ゲーム世界に行った日のまま少ししか時が進んでいなかった
どういう事?そう思うよりも先に、まずは美優に…と連絡を返していた。慌てて家から出て下に降りると美優の車が停まっていた。結莉乃が、コンコンっとサイドガラスを控え目にノックすると車のロックが解除された
美優
「良かった!何かあったのかと思って心配した」
結莉乃
「ごめんね、心配かけて」
美優
「良いよ良いよ。…って、あれ?どうかした?」
結莉乃
「え?何が…?」
美優
「何か…泣きそうな顔してるから」
美優に言われて結莉乃は慌てて笑顔を作る。押し潰されそうな胸の苦しさを我慢して結莉乃は別の話題を振る
上手く整理が出来ないまま結莉乃は約束していた通り美優の家に泊まり、休みが終われば当然の様に出勤する為に電車に乗っていた