第19章 それは前兆として増え迫るもの
天音
「なっ…結莉乃が…?」
慎太
「居なく、なる…」
胤晴から告げられた突然の事に全員が驚き、上手く言葉を発せられなかった。彼等にとって結莉乃いる毎日が当たり前になっていたため衝撃的な事実であった
胤晴
「いつも結莉乃から元気を与えてもらっている。だから、今度は俺達が彼女を元気付けるべきだろう」
眞秀
「確かに大将の言う通りですね」
千兼
「じゃあ、沢山の飯作って騒ぐのどうですかぁ」
八一
「良いんじゃない、それ」
眞秀
「結莉乃が笑顔になるよう美味い飯、俺頑張って作るんで」
凪
「私も手伝いますよ」
いつ訪れるか分からない別れに備えて話し合い、色々と計画を立てた。
数日後─…
千兼
「大丈夫かぁ?」
結莉乃
「大丈夫。…何処に行くの?」
千兼
「んー内緒」
ふらつく結莉乃を千兼が支えながら廊下を歩く。広間に到着し千兼が襖を開けると…
結莉乃
「わぁ…っ」
普段通りの広間なのに普段通りでは無い華やかな広間に結莉乃は目を輝かせる。色とりどりの花で室内は飾り付けられ、沢山の食事が並んでおり…その中では大切な仲間達が笑っていた。結莉乃は状況が理解出来なくて隣に居る千兼を見上げる
結莉乃
「誰かの誕生日…?」
胤晴
「違う」
結莉乃の問いに答えたのは胤晴だった。益々、理解出来なくて結莉乃は首を傾げる
胤晴
「いつ戻ってしまうか分からない君の為の場だ」
結莉乃
「私の…?」
八一
「本当は結莉乃ちゃんにずっと居て欲しいけど…そうはいかねぇみたいだからさ。急に居なくなりました、だとお互いに辛いっしょ?」
結莉乃
「だから、その時の為に…って事?」
慎太
「嬉しくないか?」
結莉乃はそこまで考えて、こんなに素晴らしい場を設けてくれた事が嬉しくて慎太の言葉にぶんぶん首を横に振る