第18章 身を滅ぼす考え
結莉乃
「……っ…痛い」
気絶から目が覚めた結莉乃は薄暗い冷たい場所に横たわっていた。上体を起こした結莉乃は殴られた腹部が痛み、思わず言葉が零れた。腹部を擦りながら辺りを見る
結莉乃はつい最近、此処に似た場所へ脚を踏み入れた為すぐに地下牢である事が理解出来た
結莉乃
「何でこんな事に…困っている人、皆にこの力を使いたいと思うのは…打首にされる程いけない事なの…?」
両手を見下ろしながら結莉乃は疑問を小さく零す。だが勿論、返事が訪れる事は無かった
何時間経ったのか分からないが、閉じていた瞼の向こうで人が来た気配がして結莉乃は瞼を持ち上げる。近付いてきた足音は結莉乃の牢の前で止まり、彼女の牢を開ける
上安曇の者
「立て」
結莉乃
「……っ…」
上安曇の者
「何をしている。さっさと立て」
立ち上がろうとした結莉乃はまた目眩に襲われ一度、崩れてしまう。だが、男が腕を引き上げ結莉乃は無理矢理に立たされそのまま歩かされる
そして、一つの扉を出ると目を刺すような光に襲われ結莉乃は思わず顔を背けて目を瞑る。ゆっくりと目を開けると…そこには先程の打首隊の男が立っていた
打首隊
「そこの台に上がれ」
結莉乃
「………」
結莉乃は押されるままに、階段を上り台へ立つ。すると後ろでもう一人の男に手を纏めて掴まれると無理矢理、膝をつくように座らされる
台の下には沢山の人達が結莉乃を見上げていた
結莉乃
(覚悟…出来ないよ…)
無理矢理に連れてこられ、理不尽な理由での打首に結莉乃は悲しくて苦しくて涙が溢れそうになる