第18章 身を滅ぼす考え
打首隊
「とにかく命令が出ている以上、拒む事は許されん」
胤晴
「俺の領で何をしている…人間」
打首隊
「……っ…」
凪と共にやってきた胤晴の機嫌は酷く悪かった。それはそうだ、勝手に屋敷へやってきて勝手に自分の愛する者を連れて行き亡き者にしようとしているのだから
何人が束で挑んでも敵わない程の実力者である胤晴の殺気に彼等は後退る。四つの領で比べても胤晴程の実力者はいない…そのため壬生領が実質、頂点に君臨しているのだ
打首隊
「我等も引き下がる訳にはいかぬのです。命令は命令なため強制的に連行する」
結莉乃
「そん、な…私はただ…皆の力になりたかったからで…」
千兼
「そうだぞ、あの時の彼女の言葉は正しかっただろうよぉ」
打首隊
「正しいか正しくないかでは無い、王に従うかどうかだ」
胤晴
「相変わらず自分勝手な言い分だな…凪」
凪
「はっ」
凪が動き出すよりも先に打首隊が何かを地面にぶつけた。すると、それは涙を誘発するもので威力が強かったのか胤晴までもが目を瞑り噎せる。千兼も結莉乃の肩から手を離してしまう
結莉乃
「……っ…」
その間に結莉乃は気絶させられ、担いで連れ去られてしまった。
先程の涙誘発玉の効果が切れるとその場に居た四人は悔しげに表情を歪める
凪、慎太、千兼
「……っ…」
三人は息苦しくなるような殺気に包まれ思わず目を丸くする。普段通りに見える胤晴だが、纏う空気だけで人が殺せそう鋭さを持っている
胤晴
「人間め…許さん。皆、準備しろ。凪は連絡を」
凪
「は、はい…」
凪は頷きつつも久し振りに見る胤晴の怒りを感じ、結莉乃の存在が大きい事を改めて理解する