第18章 身を滅ぼす考え
翌日─…
千兼
「どーこ行くの」
結莉乃
「あ、千兼くんおはよう。…今からお花に水をあげに行こうかと」
千兼
「ふーん。手伝ってやるよぉ」
結莉乃
「ありがとう」
無事に仲間認定された千兼は屋敷内を監視無しで自由に歩いていた。玄関から出ようとしていた結莉乃は花の水やりを手伝うと申し出てくれた事にお礼を述べる
─コンコン
二人で出ようとした瞬間に扉が叩かれれば顔を見合せ、結莉乃は慌てて扉を開ける
結莉乃
「どちらさ─…」
「華岡結莉乃。お前へ打首命令が出ている」
結莉乃
「え…?」
見た事が無い男性達の中で一番、偉そうな男が紙と共に衝撃的な言葉を結莉乃へ浴びせる。後ろにいた千兼が迷わず結莉乃の肩を抱き寄せて守る
千兼
「あんたら上安曇の奴等だろぉ」
「左様。上安曇領の打首隊だ」
千兼
「は?何でそんな奴等が結莉乃ちゃんに用があるんだぁ?」
打首隊
「先程も申した様に、華岡結莉乃へ打首命令が出ているからだ」
結莉乃は千兼と打首隊の男が話す言葉に入る事など出来ず、理解が出来ない状況に戸惑っていた。
慎太
「それは物騒だな。どんな理由があって彼女がそんな事になるんだ」
玄関の騒がしさと異様な空気に慎太が現れ言葉を紡ぐ
打首隊
「我が主だけの為に力を使う事を断ったからだ」
千兼
「はーん?自分のもんにならなかったから亡き者にしようってか。ガキだねぇ」
打首隊
「我が主を侮辱するな、妖が」
千兼
「その妖に楯突こうってんだから余っ程、自信があんだろうなぁ?」
ばちりと溢れ出す千兼と慎太の殺気に打首隊達が一瞬怯む。鬼領の壬生に楯を突く事は得策では無い事は誰もが理解していた。だが、それを無視してでも今回の事が大雲にとって気に障ったのだろう