第18章 身を滅ぼす考え
大雲
「ふん、我の言う事が聞けぬと言うのか」
結莉乃
「…はい」
大雲
「気分が悪い!治してくれた事には感謝するが、早々に帰ってくれ!」
結莉乃
「失礼します」
変わりように結莉乃は驚きつつもお辞儀をして立ち上がる。千兼は一度、鋭い視線を大雲に向けたがすぐに立ち上がり結莉乃を守るようにして歩く
屋敷を出て壬生に戻ってきた結莉乃は大きく息を吐き出す。それを見て千兼は笑う
千兼
「あんたやっぱ良いなぁ。格好良かったぞ」
結莉乃
「そうですかね…凄く緊張しました」
千兼
「薫様があんたに惹かれるのは当然だなぁ」
結莉乃
「そんな事ないですよ。…あ、大福!あそこの大福、美味しいんですよ」
千兼
「へぇ…」
そう零すと千兼はその店で大福を二つ頼み、一つ結莉乃へ渡す。結莉乃は強請ったみたいになって少しだけ申し訳なく思う
千兼
「気にすんなよー。俺を信じてくれたお礼」
結莉乃
「ありがとうございます」
千兼
「それから敬語…そろそろやめろぉ?堅苦しい」
結莉乃
「良いんですか…?」
千兼
「そう言ってんだろー?」
千兼の言葉に結莉乃が頷くと、彼は満足そうに笑い大福の封を開け一口齧る
千兼
「ん、うまぁ」
結莉乃
「だよね!?」
乗り出す結莉乃に千兼は笑って頷く。そして、大福を二人で完食し終わると鬼城へと帰る
門前には胤晴達、全員が立っており二人は思わず顔を見合わせる