第17章 心の交わりと遭難
暫く歩いたものの中々、町へは辿り着かない。森という事もあり空が少し暗くなるだけで、辺りは更に暗い。
千兼
「しっ…」
結莉乃
「……異形の気配」
前を歩いていた千兼が止まり、静かにすると結莉乃でも異形の気配を感じ取る事が出来た。その気配を感じ取る事が出来た結莉乃に千兼は口角を片方上げた
異形
「ウゥ゙…」
千兼が抜刀するのと同時に結莉乃も抜刀し構える
千兼
「戦う気?」
結莉乃
「勿論です!」
千兼
「へぇ…」
数は四体と多くは無い。だが、暗い空間と木々のせいで戦いにくさを感じる。結莉乃は戦うと決めたからには足を引っ張る訳にはいかないと柄を握る手に力を込める
結莉乃
「ふっ…」
地面を蹴ると異形に切り掛る。その刀を避けられたがすぐに体勢を変え素早く異形を貫く
異形
「ギャア…!」
その時、千兼も一体倒した所だった。が、その背中にはもう一体が腕を振り上げており千兼が気付き立て直そうとするも…一撃食らうのは覚悟しなければいけなくなる
千兼
「な…」
結莉乃
「これでさっきの借りは返しました…!」
千兼
「ふーん…やるじゃん」
異形の背後から走ってきた結莉乃によって、その異形の身体は貫かれる。強気にも言葉を返す結莉乃を見て千兼は楽しそうに口角を上げた
女性と共闘した事は勿論ないし、当然ながら女性に守られた事などない千兼は結莉乃へ興味を持った。そのまま身体を回転させて千兼はもう一体の異形を倒した
結莉乃
「良かった…」
息を吐き出した結莉乃を見て千兼が声を掛けようとした瞬間、それを拒む様に声が届く
薫
「遅いと思ったらこんな所で油を売っていたのかい」
結莉乃
「薫さん…っ」
届いた声に結莉乃は思わず身体を強ばらせる。だが、その前にゆらりと千兼が庇うように立つ