第17章 心の交わりと遭難
胤晴
「俺は風月と生涯を共にしようと思っていた話を…君にしただろう」
結莉乃
「え?…はい、聞きました」
胤晴
「彼女を死に追いやった人間が嫌で…最初は君にも強く当たった。すまなかった」
結莉乃
「そんな…私は別に」
結莉乃は何を話されているのか分からなくて返事が、ふんわりしてしまう
胤晴
「俺は今後、彼女以外に心を動かされる事は無いだろうと思っていた。…だが、気が付いたら俺の心を君が占めていた」
結莉乃
「……え…?」
空へと向いていた視線が結莉乃へと向けられ、彼女の鼓動はまた早く脈打ち出す。何を言われているのか上手く頭では理解できないのに、早くなる鼓動に結莉乃は戸惑う
胤晴
「俺は…結莉乃が好きだ」
現実なのに現実感がない言葉に結莉乃は呼吸が浅くなっていくのを感じる
結莉乃
(胤晴さんが…私を好き?)
脳が漸く理解して喜びが湧き上がってくるのと同時に悲しさも湧き上がってくる。結莉乃自身も胤晴の事が好きで両想いである事実を告げたいのに、此処の住民では無い事が結莉乃を躊躇わせる
結莉乃は隠した所で胤晴にはバレルだろうと思い正直に告げる事にした
結莉乃
「私も胤晴さんが好きです」
胤晴は結莉乃も同じ気持ちである事に驚き、思わず目を丸くする。だが、結莉乃の表情はどこか暗い
結莉乃
「…でも…」
胤晴
「……?」
今から言わなければいけない事に苦しさを覚えながらも結莉乃は、ぐっと拳を握り胤晴を見る