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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第17章 心の交わりと遭難




結莉乃が舞を披露してから町で会う人達に沢山の言葉を直接もらった。それが嬉しいのと同時に擽ったくも感じるのだった

入っていた依頼を終えた結莉乃は慌てて屋敷へ戻る


結莉乃
「お待たせしました!」

胤晴
「走ってきたのか?慌てなくて良いと言っただろう」

結莉乃
「でも、胤晴さん待たせてるので」


結莉乃の言葉に胤晴は小さく笑みを浮かべた。この日、結莉乃は胤晴に誘われて出掛ける事になっていた。というのもあり今日の結莉乃は普段よりも心が弾んでいた

慌てて雪を連れて来ると愛馬に乗った胤晴に続いて、結莉乃も雪に跨る。そして、二人は歩き始め…胤晴の後に着いて行く結莉乃の視界には綺麗な花が揺れていた


結莉乃
「凄い…」

胤晴
「最近たまたま見付けて君を連れて来たいと思った。…おいで」

結莉乃
「あ、はい」


先に馬から降りた胤晴が伸ばした手をとり結莉乃は雪から降りる。近くの木に二頭の馬をくくり二人は花が一番多い場所へと歩いていく

冬の訪れを感じる冷たい風が頬を撫で、ふわりと攫われていく花弁を目で追いかけると隣で長い黒髪を軽く抑えている胤晴を見付けて結莉乃は思わず見惚れる。その視線に気が付いた胤晴の紅い瞳が結莉乃へ向けられる


結莉乃
「……っ…」

胤晴
「どうした」

結莉乃
「い、いえ…何でも」


結莉乃は慌てて視線を逸らし熱くなる頬を隠す。胤晴は特に不思議に思う事もなく視線を空へと向ける

会話は無いのに苦痛では無く、穏やかな空気が結莉乃の早く脈打つ鼓動を落ち着かせた


胤晴
「………」


いつも通り、そう思っていた結莉乃だったが…どこか胤晴の空気が普段とは違うように感じて不思議に思う。何かあったのだろうか…そんな事を考え声を掛けようとした瞬間、胤晴が口を開いた



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