第16章 束の間の安らぎ
八一
「こんな感じ。…取り敢えずこの脚運びからやってみよ」
結莉乃
「分かった!」
そうして脚運びを練習してから二十分が過ぎた
凪
「良いですね」
八一
「それを軸にあれは出来てんだよ」
結莉乃
「そうなんだ…不思議」
八一
「だろ?…じゃま、前半部分をやろう」
結莉乃
「うん!」
八一がやった様に真似をするものの、やはりどこがぎこちなくて結莉乃は首を傾げる
凪
「今はぎこちなくて当然です。まだ覚えておらず自分の身体に馴染んでいないのですから。…それが出来てからが始まりですよ」
結莉乃
「成程…」
確かに覚えておらず見様見真似でやっていたら脳が理解せずに動いているからぎこちなくて当然か、と結莉乃は思い早く振りを覚えようと更に集中する
結莉乃
「ここの振りが…」
八一
「ここは、右手をこう出して左脚は後ろに引くんだ」
結莉乃
「あ、成程!ありがとう」
八一
「いーえ」
凪と八一の教え方の上手さもあり結莉乃は、八一が言っていた前半部分を覚える事が出来た。
凪
「では、そこまで通してみましょうか」
結莉乃
「はい!」
結莉乃は凪が鳴らず木同士をぶつける音に合わせて教わった部分を踊っていく。そして踊り終えて結莉乃はまた首を傾げる
結莉乃
「何か違う様な…」
八一
「んー…多分まだ覚えたばかりで余裕が無くて、ただなぞってる振りだから違う様に見えんだと思うよ。凪さんが言ったみたいにまずは身体に馴染ませないと」
結莉乃
「じゃあ、沢山踊って身体に馴染ませる!」
凪
「休憩をお忘れなく。…舞に一番大事なのは優美さです。馴染み余裕が出来たら流れる様に踊るのも意識してみて下さい」
結莉乃
「分かりました!」
やる気は人一倍ある結莉乃を見て凪と八一は顔を見合せ小さく笑む