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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第16章 束の間の安らぎ




結莉乃
「大丈夫です!この方が助けて下さったので」

町人
「そうかい…良かった」


町人は安堵したように息を吐き出す。男性は立ち上がりながら、その光景だけで結莉乃が町で好かれているのだと理解出来た


「では、僕はこれで」

結莉乃
「はい、ありがとうございました!」


結莉乃は深くお辞儀をして去って行く所作に品がある男性を見送った。瓦を乗せていた職人も結莉乃に再び謝ってから屋根へ戻って行った。

異形と関わるようになり、稽古もつけてもらっているお陰で異音にも気が付ける様になったのに浮かれていた事もあり普段通りに反応が出来なくなっていた事に結莉乃は反省した



それから帰宅した結莉乃は午前の天音との稽古を終え、午後になると食事をする広間とは違う畳が無い広間へ連れてこられた



「まず八一が本番の舞を見せます。…八一」

八一
「はーい」


一歩前に出た八一は小さく息を吐き出し、舞を始める


結莉乃
「……っ…」


珊瑚色の髪を風に乗せ、着物の袖までもが意志を持っているように動く。結莉乃は美しく舞う八一から目が離せなくなった



「貴女にはこれを覚えていただきます」

結莉乃
「これを…私が?」


今のを?と結莉乃は戸惑った。あんなに綺麗な舞を自分が出来るのだろうか…急に不安が襲ってきた。眉を下げる結莉乃の肩に八一が、ぽんっと手を置く


八一
「大丈夫。俺と凪さんが居るし…結莉乃ちゃんなら出来る」

結莉乃
「八一くん…」


「ええ、大丈夫ですよ。しっかりと教えますから」

結莉乃
「ありがとうございます!」


心強い二人のお陰で再びやる気が戻ってきた結莉乃はお辞儀をする。そして、凪が結莉乃へ改めて声を掛ける



「では八一が基本の脚運びを見せます」

八一
「ゆっくりやるから見てて」

結莉乃
「うん」


八一な色んな脚の運び方を見せる。その脚運びが既に美しくて結莉乃は感心する。だが、それをちゃんと教えてもらう前に少しでも目に焼き付けようと、じっと見詰める



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