第16章 束の間の安らぎ
結莉乃
「私…やってみたいです」
胤晴
「君ならそう言ってくれると思っていた。…舞は凪と八一が教えるから安心しろ」
結莉乃
「え、凪さんと八一くんですか?」
胤晴
「嗚呼。…宜しく頼む」
結莉乃
「はい!頑張ります!」
胤晴の期待に応えたくて結莉乃は大きく頷いた
結莉乃
(きっと大変だけど…刀も馬も出来るようになった!一ヶ月もあるんだから頑張ろ!)
一ヶ月しか、そう思うのをやめ前向きに物事を結莉乃は考える事にした。それから結莉乃は見せる約束をしていたため乾いた絵を持って凪の部屋へやってきた
結莉乃
「結莉乃です」
凪
「どうぞ」
結莉乃
「失礼します」
結莉乃は室内に入ると持っていた絵を凪へ渡す。凪はその絵を受け取り眺める
結莉乃
「どうですか…?」
凪
「とても素敵ですね。…これは頂いても?」
結莉乃
「はい!」
凪
「ありがとうございます。…それから、良ければこれを」
渡された紙を広げると、そこには先程の結莉乃と雪が描かれていた
結莉乃
「凄い…」
淡くて柔らかい絵の具の使い方に結莉乃は感動する
結莉乃
「これ同じ絵の具ですか!?」
凪
「何を言っているのです、当然でしょう」
結莉乃
「ですよね…」
結莉乃から見ると全く違う色使いに見えて思わずそう問うてしまった。やはり描く人によって色合いも絵も変わるんだと結莉乃は思った
結莉乃
「これ貰って良いですか?」
凪
「ええ、構いませんよ」
結莉乃
「ありがとうございます!」
結莉乃はそれを大事に持ち、部屋に戻ったら飾ろうと決める。そんな結莉乃を見て凪は笑みを浮かべる
凪
「そういえば王から聞きましたか?」
結莉乃
「舞の話ですか?」
凪
「ええ。私と八一から教わる事も?」
結莉乃
「はい。…初めてなのでご迷惑お掛けしちゃうと思いますが…」
凪
「そんな事、気にしなくて良いんですよ」
頑張りましょうね、と告げてくれる凪に結莉乃は勇気づけられて大きく頷いた