第16章 束の間の安らぎ
丁度、木刀が重なった瞬間にシャッターを押すと…まるで映画の一場面のようで結莉乃は笑みを浮かべる
胤晴と同様に邪魔をしたらいけないと結莉乃は静かに去った
結莉乃
「…寝てる」
結莉乃が歩いていると慎太が腕を組み縁側で座りながら寝ているのを見付ける。結莉乃は勿論スマホを慎太へ向けて写真に収める
起こさない様にその場を去ると結莉乃は厩舎へ向かった
結莉乃
「やっぱり居た」
凪は馬が好きなのだろう、そう思ったのは雪に会った日に教えてもらった事。馬の事を話す凪の瞳は優しくて、良く厩舎にいるからだ。だから、結莉乃は凪を撮る為に厩舎へ来た
予想通り凪は自身の愛馬を優しく撫でていた。結莉乃はすかさずスマホを向け写真を撮る。よし、と凪に背中を向けて去ろうとする
凪
「何をしているのです?」
結莉乃
「あ…」
凪
「……?」
結莉乃
「あー、えっと…絵を描きたくて皆さんの事を撮って回ってたんです」
凪
「撮る…?」
首を傾げる凪に結莉乃はスマホを見せる
凪
「あぁ…以前、見せて頂いたそれですか」
結莉乃
「はい!」
凪
「出来たらその絵…見せて下さいね」
結莉乃
「上手く描けるかは分かりませんが、待ってて下さい」
結莉乃の言葉に凪は優しく笑む
結莉乃
「あ、雪と写真撮ってもらっても良いですか?」
凪
「それを私で扱えるのでしたら是非」
結莉乃
「大丈夫です!ここを押すだけなので」
凪にスマホの操作を簡単に教えると、結莉乃は雪に優しく声をかけて頬を撫でる。そして、スマホへ顔を向けるが既に凪が結莉乃へ端末を渡してきていた
結莉乃
「え、まだ私…」
凪
「素晴らしい写真ですよ、きっと」
確認の仕方は分かりませんので、そう告げられ結莉乃はフォルダーを確認する。すると、優しい笑みを浮かべて雪の頬を撫でる自分が映っていて結莉乃は少しだけ恥ずかしかった
でも、凪が言う通り凄く良い写真だと結莉乃は思いお礼を述べた