第15章 解ける心
だが、やはりお礼を言いたくて全員が離れたのを見て和都は結莉乃の隣へ腰掛ける
和都
「結莉乃さん…守ってくれてありがとう」
結莉乃
「いえ…私一人じゃどうなっていたか…。天音くんが来てくれなかったら危なかったです…和都さんを危険に晒してしまいましたし」
和都
「そんな事ないわ。私が危なかった時、助けてくれて…格好良かったわ…それなのに私は、貴女に裏があるなんて勘ぐってしまって…すみません」
その言葉に結莉乃は謝らないで下さい、と両手を振る。全員が聞こえていない振りをしつつも二人の様子を伺いながら話を聞く。
和都は小さく息を吐き出すと静かに話し始める
和都
「彼等は変わっていなかったのに…勝手に勘違いして…」
結莉乃
「……」
結莉乃はその話に耳を傾ける。和都は結莉乃の血を拭った手拭いを見詰める
和都
「私きっと…貴女が羨ましかったのね」
結莉乃
「羨ましい、ですか?」
和都
「ええ。誰かの力になれる。街へ行くのも自由…羨ましかったのよ。…こんな醜く嫉妬して、貴女から命を奪おうとした私が貴女に憧れるのもいけないわね」
結莉乃
「そんな事…」
眉を下げて告げられるそれに結莉乃は和都へ視線を向ける。結莉乃は本気で彼女の居場所を取ったのではないかと申し訳なく思っていたため憧れられるなど烏滸がましいと思った
和都は開いていた手拭いを、ぱたんっと閉じて結莉乃を見詰める
和都
「ね、何かお詫びをさせて?」
結莉乃
「お詫び…」
和都
「ええ、何でも良いわ。屋敷が欲しいとか馬が欲しいとか何でも」
突然の言葉に結莉乃は戸惑いを瞳に纏わせる。お詫びをされるような事は…命を狙われたのは正直、驚いたが生きているし…と結莉乃は深くは考えていなかった
だが、和都が本気で何か詫びたいと思っているのが結莉乃に伝わったため真剣に考える事にした