第15章 解ける心
結莉乃
「……っ…!」
間に合わない…そう思った瞬間に銀の光が結莉乃には見えた。そして、和都を傷つけようとしていた異形の身体は糸が切れたように力尽きる
天音
「良く頑張ったな」
結莉乃
「天音…くん…っ」
天音
「遅くなっちまって悪かった」
そう告げた天音は、刀で異形を抑えている結莉乃を見てから…眉間に皺を刻み凄い速さで地を蹴り残りの三体をあっという間に倒してしまった
圧倒的な力の差に結莉乃は少し傷付くのと同時に改めて尊敬した。刀を鞘に戻した天音が結莉乃へ近付く
天音
「大丈夫か?」
結莉乃
「うん…ありがとう、助けてくれて」
天音
「いや。…守りながら戦えるなンてすげェじゃねェか」
天音の言葉に結莉乃は感極まってしまう。だが、慌てたような天音が声をあげる
天音
「泣くンじゃねェぞ!?」
結莉乃
「泣かないよ…!」
和都
「結莉乃さん…」
結莉乃
「和都さん!大丈夫ですか?」
和都
「それは貴女よ。…こんなに血を流して…」
和都は懐から手拭いを取り出し彼女の頬を濡らす血を拭おうとすると、結莉乃は慌てて身体を離す
結莉乃
「和都さんの手拭いが汚れちゃいます!」
和都
「何を言っているの…守ってくれた人の血が汚いなんて事ないわ」
和都は再び手を伸ばして結莉乃の血を拭う。結莉乃は申し訳なさそうにしながらもお礼を述べる。
そうしていると漸く音を頼りに辿り着いた胤晴達が合流する。結莉乃は疲れた事で体力を消耗し、より消耗したら良くないという事になり自分で治癒はせず拠点へ戻った。凪に額の傷を手当してもらい今は椅子に座っていた
全員が結莉乃を心配する中で和都はあまり近付かない方が良いかと気を遣い、少し離れた場所に居た