第15章 解ける心
残りの四体は結莉乃が異形を倒した事により再び彼女へ向かい出す。それを見て結莉乃は痛む身体を無視し、異形を切り付けて退けながら和都の前へ立つ
和都
「結莉乃さん怪我が…っ」
結莉乃
「私は大丈夫です」
前を見ながら告げる結莉乃に和都は眉を下げる
結莉乃
(あと四体…この状態でいける?)
いや、行くしかない…そう思い結莉乃は片手で握る柄に力を込める。だが、切り付けられて腹を立てた異形の攻撃の強さが増す
防御を攻撃される度に身体は下がり、振動が傷へ響く。先程の傷と防御時に受ける衝撃…考えながら戦わなければいけない状況が結莉乃の体力を奪っていく
結莉乃
「はぁ、っ…は…」
段々と息は乱れて思考が纏まらなくなってくる。蹴られた時に内蔵が傷付いたのか逆流してきた血液が咥内へ溜まれば結莉乃は、地面へ血を吐き出す
その様子を見た和都は目を丸くして結莉乃の背中を見る。愚かな自分をこんなに守ってくれる彼女に向かって口を開く
和都
「もう…良いわ。私は貴女みたいに戦えないし彼等の傷を治す事も出来ない。私が囮になっている間に逃げて」
結莉乃
「…っ…諦めちゃ、駄目です…!」
和都
「でも…」
結莉乃
「絶対に貴女を助けます!それで…っ…二人で逃げるんです!」
和都の言葉は簡単に結莉乃に拒まれ、和都の瞳は揺れる
和都
「どうして…私は貴女の命を奪おうとしたのよ?」
結莉乃
「だからって…見捨てる理由には、なりません!私はっ…私に出来る事を精一杯やりきりたい!」
その時…和都は結莉乃が彼等に好かれるのか理解できたような気がした。
自分も誰かを守れると結莉乃は信じたかった。自分が出来る事をやりたかった。だが、更に激しくなる異形の攻撃に防御の力が弱まってしまう
結莉乃
「しまっ…」
そして一体が結莉乃では無く和都へ向かい腕を振り上げる。結莉乃が慌てて刀を向けようと防御を解除するが、残りの三体は結莉乃へ腕を振り上げる
それを防いでいるうちにも異形の腕は和都へ近付く