第15章 解ける心
繰り出す攻撃を尽く止める異形に結莉乃の表情が歪む。ちらっとまだ和都の方へ到達していないかを確認した瞬間…
結莉乃
「うっ…!」
結莉乃の腹部に異形の脚がめり込み身体が軽く浮き上がると、まるでボールの様に異形が結莉乃を蹴り彼女の身体は川の浅瀬へ打ち付けられる
それを見た異形は歪な笑みを浮かべ結莉乃へ背中を向け、他の四体と同じ様に座り込んでいる和都へ近付いて行く
和都
「…っ……」
浅瀬でうつ伏せになった結莉乃を見て和都は目を丸くする。自分があの場を離れたせいで結莉乃をこんな目に合わせてしまった…そう思った
和都
「ひっ…」
先程まで距離があった五体の異形がすぐ側まで歪な笑みや声を発して近付いて来ている事に、和都は小さな悲鳴をあげる
和都
「こ、来ないで…っ」
和都は下がれないそこに背を当てながら石を掴み異形に投げる。異形は当たってもそれが痛みには変わっていないようで何個、和都が当てても怯みもしなかった
もう駄目なんだと…彼女の命を奪おうとした自分への罰だと和都は思った。死を受け入れようとした瞬間…和都へ手を伸ばしていた異形の動きが止まった
和都
「……?」
和都が不思議に思っていると彼女の前に水色の壁が現れた。と同時に和都の視界に写ったのは異形の胸を貫く銀色の刃
結莉乃
「和都さんに…触れさせない…!」
和都
「結莉乃さん…!?」
異形で姿は見えないものの、その声は確かに結莉乃のものだった。刃が抜け異形が倒れた先には…片手を伸ばして防御を発動させながら立っている結莉乃だった。彼女は片手で異形を倒したのだ
だが、右側の額が切れているのか流血し結莉乃の頬を赤く染めていた。着ている着物も川に浸かった事により濡れ、所々破れたり黒くなったりしている