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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第14章 彼岸花の毒




結莉乃
「凄く嬉しいです。ありがとうございます!」

和都
「いえ。…座りますか?」

結莉乃
「そうしたいのは山々ですし、お行儀悪いかもしれませんが…準備がもうすぐなのでこのまま頂きます。食べて今日の夕餉に一緒に出します」

和都
「ええ」


和都は持っていた小瓶を結莉乃へ出す。その中には醤油に浸され色が変わっている小さな野菜の様なものが幾つも入っていた。結莉乃は一粒取り出す


結莉乃
「頂きます」

和都
「………」


それを見守る和都は軽く握った拳を胸元にあて、早く脈打つ心臓を抑える。早くなる呼吸を整える様に息を吐き出す

和都の緊張など知らず結莉乃は取り出したそれを口に含み咀嚼する


結莉乃
(ん?何か…不思議な味がする…)


だが、勿論そんな事を告げるわけにもいかず結莉乃はそれを喉奥へと流し込む。そして、引き攣らないように気を付けながら笑みを浮かべ


結莉乃
「凄く美味しいです」

和都
「それは良かったです」


和都は三十分以内に効くであろうと少しだけ会話をして足止めをする事にした。もう一粒どうかと勧められれば断る事も出来ず結莉乃は、つまみ出したそれを口に含み食す


結莉乃
「……っ…?」


暫くして結莉乃を激しい吐き気が襲い口を抑える。だが、その次には


結莉乃
「う、っ…は…はぁ…っ」


目を見開き両手で首を押さえると、がたんっと結莉乃が持っていた小瓶が廊下に落ち醤油と彼岸花の球根が数粒飛び散る。結莉乃は上手く呼吸が出来ず膝から崩れ落ち、ぜぇぜぇと苦しげに喉を鳴らしながら首を押さえる


結莉乃
(苦し…っ)


このままじゃ死ぬ…そう思った結莉乃は、首を押えている手から淡い光を溢れ出させる。死にたくない、その一心で自分に治癒能力を使うが毒の影響から体力の消耗は激しく…同時に苦しさから集中できないため余計に状況を悪くする



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