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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第14章 彼岸花の毒




結莉乃の許可があると天音は襖を開けて中へ入ってくる。それと同時に若葉はお辞儀をして去って行く。

結莉乃が座布団を出すと天音はそこに、どかっと腰掛ける。頭や首を搔いたり、座り直したりと落ち着かない様子の天音に結莉乃は首を傾げる


結莉乃
「どうかしたの?」

天音
「…アンタが連れ去られた日…オレが居たのに守れなくて悪かった」

結莉乃
「えっ…」

天音
「ずっとアンタの泣いた顔が焼き付いて離れねェんだ…クソッ…本当に悪かった…!」


額が畳に触れるほど頭を下げる天音を見て結莉乃は戸惑う。彼等を守りたくて出した答えが、天音を傷付けていた事に申し訳なさが込み上げてくる。

ずっと天音が自分を責めていた事を畳に打ち付けられる拳の強さで理解する


結莉乃
「天音くん…自分の事そんなに責めないで」

天音
「けどっ…!」

結莉乃
「沢山守ってもらったよ私。…それに謝るのは私の方」

天音
「ハ…?ンで、アンタが謝る必要があンだよ」


その理由が分からず天音は顔を上げて結莉乃を見詰める


結莉乃
「刀を持つ時に覚悟を決めた筈だった。自分の身を守る為に皆に迷惑をかけない為に…なのにあの時、私は…異形以外に刀を向けられないなんて甘い事を考えてた。そのせいで天音くんがより多くの人を相手しなきゃいけなくなっちゃった…私のせいで天音くんに傷を負わせてしまった。これ以上、負傷して欲しくなくて勝手に決めて玲瓏に行ってからも…きっと天音くんは自分を責めてたよね。本当に…本当にごめんなさい」


結莉乃はあの時の事を思い出して泣きそうになるのを堪えながら頭を下げる。天音はそれを聞いて、ぐっと奥歯を噛み締め思わず結莉乃を抱き締める

突然の事に結莉乃は驚いたものの、あんなに血塗れになっていた天音がちゃんと居る事を…玲瓏で助けてくれた時ではなく落ち着いた今触れた事によって実感し我慢していた涙が溢れてくる



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