• テキストサイズ

「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第14章 彼岸花の毒




胤晴
「はぁ…分かった」


観念した様に息を吐き出した胤晴の言葉に結莉乃の表情は、ぱぁっと明るくなる。その嬉しそうな表情を見て胤晴は困った様に、それでいて優しい笑みを浮かべる。彼女の笑顔に和都を除いた全員が結莉乃の明るい笑顔が屋敷に戻ってきた事に喜びを感じていた

胤晴の傍に寄った結莉乃は手を出し、淡い光が胤晴の身体を包み込んでいく。初めて見た和都は目を丸くした


胤晴
「…ありがとう」

結莉乃
「いえ!治せて良かったです」

胤晴
「それから…おかえり」

和都
「……っ…」


ふっと目を細めた胤晴の瞳に優しさと共に…和都がずっと欲しいと思っていた感情が滲んだ気がして苦しくなる


和都
(胤晴様は…彼女を)


だが、そんな和都を置いて会話は進んでいく。胤晴に続いて全員が「おかえり」と彼女へ声を掛ける。それが嬉しくて結莉乃は思い切り息を吸い込む


結莉乃
「ただいま!…ご迷惑をお掛けしましたが、帰ってこられて良かったです!」


いつの間にか結莉乃は屋敷に居る皆にとって掛け替えの無い存在となっていた。その空気を感じ取った和都は皆が変わってしまったように感じた。自分の居場所を結莉乃に取られた様な…そんな気分になった




若葉
「お帰りなさいませ…本当にご無事で良かったです」

結莉乃
「若葉さん…ありがとうございます」


玲瓏での生活を話終えると自室に戻り着物へ戻してもらう事になり、訪れた若葉は結莉乃の姿を見て涙ぐんだ。それから結莉乃は着物に着替えさせてもらうと、ゲーム世界に来たばかりの頃は苦しかったのに一週間振りに着た着物は何だか落ち着いた


若葉
「先程の物も似合っていましたが…着物が一番似合っていますね」

結莉乃
「ふふ…ありがとうございます。私、若葉さんに着付けてもらうの好きです」

若葉
「そんなお言葉を頂けて嬉しいです」

天音
「おい、結莉乃。…少し良いか」

結莉乃
「天音くん?うん、良いよ」


結莉乃と若葉が会話をしていると襖の向こうから声が掛けられ、結莉乃は不思議に思いながらも言葉を返した



/ 268ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp