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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第14章 彼岸花の毒




結莉乃
「胤晴さん糸を巻かれて怪我してるんです。だから、私の力を使って治したいって言ってるんですけど…負担になるからってさせてくれないんです!凪さんからも言ってください」


「成程…。王の言いたい事も分かりますが…彼女の言う通り傷を甘く見てはいけませんよ。ここは結莉乃に頼るべきかと」

胤晴
「凪…」


胤晴はどこか恨めしそうに凪を見詰める。だが結莉乃は強力な味方が出来て得意気だ


和都
(彼女が治癒能力があるという人間…随分と馴染んでいらっしゃる)


久し振りに壬生の皆と会話が出来るのが嬉しくて騒がしかった結莉乃が、漸く見慣れない顔がある事に気が付く


和都
「姫の柊和都です。秋の始まりに毎年此方へ来させて頂いて数日間、滞在しているのです。宜しくお願い致します」

結莉乃
「あ…騒がしくてすみません。華岡結莉乃です。こちらこそ宜しくお願いします」


初対面の人に見られていたと思えば急に恥ずかしくなり、結莉乃は慌てて挨拶をする。



「では、取り敢えず中に入りましょうか?」


杠から帰ってきた時も凪にそう促されたな、なんて思いながら全員で広間へ移動した



座布団に座って結莉乃は全員の顔を一人ずつ見る。本当に帰ってこられたんだ…そう思うと結莉乃の中で込み上げるものがあり溢れそうになる涙を堪える

一週間、戻って来られなくて胤晴達と会話が出来た時は舞い上がって騒いでしまったが…落ち着き冷静になると帰ってきた事を実感して胸が熱くなる


結莉乃
(やっぱり…)


結莉乃は帰ってきた事に浸るのを後にし胤晴を見る


結莉乃
「その傷治しましょう?」

胤晴
「まだそんな事を…」

結莉乃
「胤晴さん」

胤晴
「………」


じっと見詰める結莉乃の一歩も引かない視線に胤晴は、逃げ場が無いその瞳から目を逸らす。和都はそんな二人を見て長年通い続けている自分よりも深い仲に感じるのが嫌だった



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