第12章 訪れた難に身を委ね
薫
「追いかけられたら困るから…少しの間寝ててね」
天音
「うっ…」
結莉乃
「天音くん!」
薫
「大丈夫。気絶してるだけだよ。…さ、行こう」
結莉乃
「……はい」
倒れた天音が心配だったが薫の腕が腰に添えられた為、結莉乃は後ろ髪を引かれながらも歩き出した
結莉乃
(天音くんのあんな顔、初めて見た…)
気絶する前の天音は、結莉乃が薫の方へ行った事に絶望した様な表情を浮かべており…それを思い出して結莉乃は眉を下げる
結莉乃と薫、蜘蛛男がその場を去って少しした頃…二人の帰りがあまりにも遅いため捜しに来た眞秀と慎太は血溜まりの上で倒れている天音を見付け、慌てて駆け寄る
眞秀
「天音!」
慎太
「……気絶してる」
眞秀
「着物も破れて血塗れなのに傷一つねぇな」
慎太
「結莉乃が治したのか…?」
天音の無事を確認してから二人は周りに視線を向ける。すると数多の爬虫類と鳥類の男達が倒れていた。だが、彼等が見付けたかったのはそこではない
慎太
「その結莉乃はどこに行ったんだ?」
眞秀
「まさか…」
二人は顔を見合わせ互いに最悪な事を考えているのを理解する
天音
「……っ、……結莉乃!」
天音は目を覚ますと、覚醒していた時に起こった事を思い出して慌てて上体を起こす。だが、そこに居たのは眞秀と慎太で目を丸くする
眞秀
「天音、結莉乃はどうした?」
天音
「それは…」
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事情を聞いた二人は驚き、早く知らせようと三人は屋敷へ慌てて戻った。そして、胤晴の部屋へ断りも無く入室する
眞秀
「大将、大変です!結莉乃が連れて行かれました!」
胤晴
「……何?」
声掛けも無く入ってきた三人に驚いたものの投げ掛けられた言葉に更に驚いてしまう