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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第11章 難はいつもすぐ傍で寄り添う




翌朝、結莉乃が煮物を装っていると隣で漬物を取り出した眞秀が思い出した様に声をあげ、結莉乃を見る


眞秀
「結莉乃、大将起こしてきてくれるか?」

結莉乃
「あれ、凪さんは?」

眞秀
「今、厩舎なんだ。だから、頼んで良いか?」

結莉乃
「分かった!」


普段は側近である凪が起こすか胤晴自身で起きるのだが、今日は凪が厩舎に居るため結莉乃がかわりに起こしに行く事になった

失礼します、と襖越しに声を掛けても返事が無い事から胤晴がまだ寝ているのが分かり結莉乃は襖を開け眠っている胤晴の寝台へ近付く


結莉乃
「胤晴さん、朝ですよー。起きて下さい」

胤晴
「……」


声を掛けても規則正しい寝息をたてている綺麗な顔を見ながら、結莉乃はまた声をあげる


結莉乃
「胤晴さーん?ご飯冷めちゃいますよー」

胤晴
「……んん」

結莉乃
「あ、起きました?おはようございます。ご飯出来てますよ」


長い睫毛が連なった瞼が震えゆっくりと持ち上がり、紅い瞳が眠たげに覗き結莉乃を捉える。まだ覚醒していないのかゆっくりと瞬きを繰り返す胤晴を、ちゃんと起こそうと結莉乃が肩に触れようとする。


結莉乃
「え!?ちょ…胤晴さん!?」


肩に伸ばした結莉乃の手は掴まれ、胤晴の布団へ入れられてしまい結莉乃は慌てる。だが、当の本人は眠たげな声を零し彼女の身体を抱き込む


胤晴
「もう少し…」

結莉乃
「もう少しって…ちょっと!私の心臓が…っ」


流石に整った顔立ちの胤晴と薄布を通して伝わる温もりに結莉乃の全身が沸騰した様に熱くなる。何とか腕から逃れようとするも出来ず結莉乃は困り果てていた


眞秀
「おーい、何やってん…っ!?」


流石に遅いと感じた眞秀が結莉乃を呼びに胤晴の部屋に入り、寝室を覗き目を丸くする


結莉乃
「眞秀くん!助けて!動けないの!」

眞秀
「大将!起きて下さい!」


眞秀のお陰もあり無事、布団から抜け出し胤晴も漸く覚醒した。着替え終わった胤晴が廊下に出てくると結莉乃と眞秀は視線を向ける



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