第11章 難はいつもすぐ傍で寄り添う
それから凪に乗馬の基礎を丁寧に教えてもらい結莉乃は一人で馬に乗る事が出来るようになった。最初は想像していたよりも高い視界に怖がっていた結莉乃だったが、雪が大丈夫だと支えてくれているようで心強かった
凪
「無理せずゆっくりで大丈夫ですから」
結莉乃
「分かりましたっ」
凪の居る所まで歩く練習をする。結莉乃は常に雪の事を気にして色んな事を行う為か雪は心を許し彼女を一人前にするべく動く。既に心が通わされている様な姿に凪は気が付けば感動していた
凪
(合う人に会えば雪もああなるのですね)
整えられた鬣や尻尾を風に揺らし、陽の光を浴びて光る綺麗な白い毛をまた見られた事に凪は喜びを感じていた。
まだ怖々と雪に乗る結莉乃を見ていると凪は昔の事を思い出した
凪
(王も…幼い時はあんな感じでしたね)
思わず笑みを浮かべる凪を見て結莉乃は首を傾げる。だが、次には少し唇を尖らせて拗ねた様な声を発する
結莉乃
「私が怖がりながらやってるの笑ってるんですか!?」
凪
「え?…あ、いえ…違いますよ。ただ王もそうだったなと」
結莉乃
「胤晴さん?」
凪
「ええ。王に乗馬を教えたのは私です」
結莉乃
「そうなんですか?」
その言葉に結莉乃の表情から拗ねは消えており、今発せられた話に興味津々のようだった
凪
「桐生家は代々、嶺渡家に仕えているんです。なので私は王が幼い頃から傍に居ます。様々な事を教えるのは私の役目なのです。だから、乗馬も教えましたが…今の貴女みたいに怖がりながらでしたよ、最初は」
結莉乃
「へぇ…胤晴さんがそうなってしまうのなら私がなってしまうのは、仕方が無いですね!」
凪
「ふふ…そういう事にしておきましょうか」
結莉乃
「そうして下さい。凪さんと雪が居たら私もすぐ上達しますからっ」
何て自信満々に言う結莉乃に応えるように雪は軽く首を動かし、凪は少し楽しそうに笑う