第11章 難はいつもすぐ傍で寄り添う
結莉乃
「そんなの酷いよ。…眞秀くんがそう思っちゃうのも私は仕方ないと思う。それに、眞秀くんは懐深いよ!」
眞秀
「そうか?」
結莉乃
「うん。だって、異質な私が屋敷に連れて行ってもらえるように胤晴さんに声を掛けてくれたし…手も差し伸べてくれた。初日の夜に羽織を貸してくれて話をしてくれて…簪までくれた。異質で…それも人間なのに。私は眞秀くんの暖かさに救われた。だから、誰がなんと言おうと…例え眞秀くんが言っても私は否定する。眞秀くんは懐が深くて優しい暖かい人だって言う!」
ゲーム内のヒロインが何て言っていたかなんて覚えていない。これは結莉乃の正直な気持ちだった。自分の推しは誰がなんと言おうと格好良くて素敵なのだと、結莉乃はしっかりと眞秀に伝わる様に告げる。
その勢いにきょとんとしていた眞秀だったが、ふっと笑みを零す
眞秀
「結莉乃のそういう所、良いな」
結莉乃
「え…そういう所?」
眞秀
「見せたくない暗い部分をこっちが予想しなかった言葉で救ってくれる。話したく無かった事なのに話して良かったって思わせてくれる。…道に迷いかけても結莉乃が居たら大丈夫って思わせる。それって凄い事だぞ」
結莉乃
「そんな大袈裟だよ。私はただ思った事を言っただけだし…それに、いつも救ってもらってるのは私の方だよ」
眞秀
(んな事ないんだけどな。…自分では気付かないもんか)
照れた様に慌てる結莉乃を見て、眞秀は優しい笑みを浮かべる。他の人間とは違う彼女だけは守ろうと、眞秀は思ったのだった
屋敷へ戻った二人は互いにやる事があった為、玄関で別れた。結莉乃はその脚で凪の元へ向かう事にした。
部屋へ向かっている途中の縁側で目当ての人物に遭遇する
結莉乃
「凪さん!」
凪
「どうかしたんですか?」
縁側に腰掛けながらお茶を飲んでいた凪は、結莉乃の声に反応して顔を庭から彼女へと向ける
結莉乃
「凪さん今お時間ありますか?」
凪
「ええ、ありますよ」
結莉乃
「乗馬を教えて下さい!」
凪
「分かりました」
快く受け入れて貰えたのが嬉しくて結莉乃は思い切りお辞儀をする