第11章 難はいつもすぐ傍で寄り添う
壬生領に帰ってきて数日が経った今日、結莉乃は壬生に観光に来ていた人間領の住民、上安曇の団体が異形に襲われたという事で依頼を受けて治癒をしに来ていた。
結莉乃
「はい、もう大丈夫です」
上安曇の住民
「ありがとうございます…貴女のお陰で助かりました」
結莉乃
「いえいえ。…壬生を楽しんでいって下さいね」
上安曇の住民
「はい!」
最初に光を見ると全員が驚いたが、次第にその神秘的な光景と温かさに皆が感謝していた。
結莉乃
「これで全員?」
眞秀
「…みたいだな」
結莉乃
「良かった」
眞秀
「体調に変化は?」
結莉乃
「今日は大丈夫だよ。ありがとう」
眞秀
「そうか。調子悪くなったらすぐ言えよ?」
面倒見が相変わらず良い眞秀に頷いてから、結莉乃にお礼を述べて去っていく上安曇の人達を見送る
結莉乃
「上安曇ってどんな領?」
眞秀
「あー…俺は苦手だな」
眞秀の返事を聞いてから結莉乃は、しまった…とゲーム内での事を思い出す。唯一攻略している眞秀の話を忘れていた訳では無いが、何となくで間違えて問い掛けてしまったのだ。
だが、問い掛けてしまったのだから内容が苦しいものだと知っていても聞かなくてはと気合を入れて眞秀へ顔を向ける
結莉乃
「どうして?」
眞秀
「俺がまだ幼い頃…突然、家に鬼狩りが来たんだ。両親は俺と妹を身を呈して守って逃がしてくれた。何もしてないのに…両親の命は奪われた」
結莉乃
「………」
眞秀
「人間全員が嫌だとは言わない…結莉乃みたいに良い奴も居るし。だが、やはり人間全員を受け入れられる程の懐の深さは持てない。…この異形退治部隊を率いているのも力のない同族を守る為だ」
結莉乃
「異形から人間を守るのは嫌だなって思う?」
眞秀
「思わない。…って言いてぇが、両親を奪った鬼狩りとは違うって分かっていても人間だと思うと少し嫌だな。…引いたか?」
眞秀は困った様に笑いつつ結莉乃に問い掛ける。だが、結莉乃は首を横に何度も振る